恋愛アニメとなるとハーレムだったり、超ハイスペックな幼馴染だったり、甘えてくる妹だったり、現実離れした作品が多い印象です。決して悪い意味ではなくこのような作品にも長所はありますが、それとは逆にリアリティを追い求めたのがこの「月がきれい」です。

中学生の男女2人の関係に主にスポットを当てた物語。2人が出会うところから丁寧に描かれていて、関係が進展する前の辿々しさや独特の緊張感の出し方がお見事です。終盤で2人の関係を維持するにあたって大きな問題に直撃するわけですが、それに対する2人の葛藤だったり、ちょっと不器用が故に距離ができたりっていうのも中学生らしさが詰まってて圧巻です。
また恋愛描写以外も素晴らしくて、1話のファミレスでのやり取りや照明の紐でボクシングをするシーンなど、思春期特有の描写も美しすぎる。
最終回もお涙頂戴の分かりやすい簡単なオチではなく、リアリティから外れない完璧なオチで自然と涙が出てきてしまいます。

中学生の頃のまだ性も知らない、一度過ぎ去ったらもう2度と戻ることのできない"純粋な恋愛"。
それを思い出させてくれるような傑作です。